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大腿骨転子下骨折偽関節症例

大腿骨転子下骨折偽関節症例(増井)

症例 74歳、男性
Seinsheimer & Bergman分類type V1
受傷時レントゲン・CT
初回手術直後のレントゲン
偽関節、スクリュー折損後のレントゲン
術前評価
  • 大腿骨転子下骨折(初回手術)
  • せん断力、内側に圧迫力、外側に伸張力
  • 強い応力に耐えられる内固定材:近位スクリュー挿入部に応力集中
  • PFNA(近位16.5㎜、遠位10㎜、長さ300㎜)使用
  • 大腿骨転子下骨折偽関節:不安定性による遠位スクリュー折損
  • せん断力
  • Lateral wall損傷:ワイヤリング等の処置(本症例では未施行)
治療計画
固定性を上げる術式
  • せん断力に対してbuttress plating:太いplateをブレード前方に設置、ワイヤリングおよびスクリュー固定
  • プレートのバックアウト防止のため、ワイヤリング(血流阻害を考慮して骨折部近くに1本)
  • プレート:各種LCPを準備。本症例はSynthes社製・脛骨近位LCP使用
  • PFNA遠位スクリュー入れ替え
  • 偽関節部のchipping
術中・後経過
  • 手術時間:2時間
  • 出血量:350ml
  • 術後2日可動域訓練、免荷起立・歩行
  • 術後3週1/3荷重、6週全荷重歩行
術後レントゲン
術後12週レントゲン:全荷重歩行
骨癒合が得られ、全荷重歩行中
ポイント
  • 大腿骨転子下骨折(Seinsheimer & Bergman分類type V1)
  • 大腿骨転子下逆斜骨折
  • 強い応力に耐えられる内固定材
  • Buttress plating:Synthes社製proximal tibia plate
  • 問題点:ワイヤリングによる血流障害