泌尿器科

男性更年期障害

女性特有の疾患と思われることも多い更年期障害は、実は男性にも起こることをご存知でしょうか?
男性ホルモンは、40歳代以降で徐々に低下しはじめ、それにより、身体や心、性機能などに障害が生じる場合があり、これを男性更年期障害と呼びます。

加齢と性ホルモンの変化

男性更年期障害の中でも、男性ホルモンの一種であるテストステロンの値が低く、治療が必要となる状態であるLOH症候群(=加齢男性性腺機能低下症候群)は、壮年期の男性のQOLという観点から注目されています。
テストステロン値が低めの日本人成人男性は600万人に挙がるとの推計もあり、本来治療が必要であるにも関わらず見逃されている例が数多く存在すると考えられます。

男性更年期の症状

身体症状として、筋力低下、筋肉痛、関節痛、疲労感、ほてり、発汗、頭痛、めまい、耳鳴り、性機能低下、頻尿、肥満など。精神症状としては、やる気や興味の消失、イライラ、不安感の増大、健康感の減少、うつ、不眠、集中力や記憶力の低下、性欲の減少などが挙げられます。
加齢のせい、あるいはちょっとしたメンタルの不調として見逃されがちな症状も多いことは注意が必要と言えます。

テストステロンの働き

テストステロンは男性における主要な性ホルモンで、骨格や筋肉、体毛などのいわゆる「男性らしさ」に関係しています。さらには性欲や性衝動に対する作用があるほか、精神面にも関与します。

筋肉や骨格に対する働き

  • 骨や筋肉を作る
  • 体脂肪を減らす

性欲や性衝動に対する働き

  • フェロモンを発生させる
  • 興奮作用のあるドーパミンの分泌を促進する
  • 骨盤内の神経に働きかけ勃起を促す

精神面における働き

  • 前向きな思考や決断力を働かせる
  • 気力・やる気を起こさせる
  • 集中力を高める
  • 活力を維持する

LOH症候群の診断

LOH症候群の診断は血液中の男性ホルモン(遊離型テストステロン)を測定し、その値を基に行います。

遊離型テストステロン値
11.8 pg/ml以上 正常
8.5pg/ml以上11.8pg/ml未満 治療対象(男性ホルモン低下傾向群)
8.5pg/ml未満 積極的治療対象

LOH症候群の治療

治療は血中の男性ホルモン量や症状によって決定されます。

遊離型テストステロン値が11.8pg/mL以上 男性ホルモン補充療法(ART)は行わず,症状に応じて、お薬による治療や生活習慣の改善による治療を併せて検討する
遊離型テストステロン値が8.5pg/mL以上11.8pg/mL未満 男性ホルモン補充療法(ART)を治療選択肢の1つとするが、症状に応じて、お薬による治療や生活習慣の改善による治療を併せて検討する
遊離型テストステロン値が8.5pg/ml未満 男性ホルモン補充療法(ART)を行う

男性ホルモン補充療法(ART)

テストステロン製剤(エナント酸テストステロン)の筋肉注射、男性ホルモン軟膏の塗布などの方法がありますが、当院では保険適用が可能なエナント酸テストステロンの筋注を行っています。
なお、前立腺癌や中等度以上の前立腺肥大症、夜間睡眠時無呼吸等のご病気がある方は、本治療の対象外となります。

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子安医師の外来を受診ください。
子安医師外来:水曜日午前
※初診予約不要

担当医師

泌尿器科医長

子安 洋輝Hiroki Koyasu

順天堂大学 H20卒

学位・資格・免許・所属学会
  • 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
  • 日本泌尿器科内視鏡・ロボティクス学会 腹腔鏡認定医
  • 日本がん治療認定医機構 認定医
  • 日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
  • 日本内視鏡外科学会 技術認定医(泌尿器科領域)
  • インテュイティブ・サージカル社 Da Vinci Certificate