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脛骨近位端軟骨芽細胞腫症例

脛骨近位端軟骨芽細胞腫症例(増井)

症例 11歳、女児
レントゲン 脛骨近位骨端部・顆間隆起部に骨溶解性の腫瘍を認める
MRI T1low/T2STIRhighを呈し、軟骨性腫瘍が疑われる 脛骨近位骨端部・顆間隆起後方部に膨張性に発育する骨溶解性腫瘍を認める
術前計画
  • 一期的に掻爬・人工骨移植
  • アルコール処置
術直後レントゲン
術中・後経過
  • 出血量: 少量
  • 手術時間:54分
  • リハビリ:術後2日車いす、歩行訓練
    *アプローチ
  • 小児のため後方からの展開は体が小さくやりずらい為、前方アプローチで展開
  • 関節面の高さを直視下に確認後に腫瘍真正面から軟骨下骨に幅広の平のみを入れ、それを基準として成長線に切り込まない位置に同様に平のみを入れて腫瘍内部に到達する長方形のトンネルを作成する(上図:赤枠)
  • 正面から直視下に、イメージで膝関節側面像を確認しながら腫瘍内部を掻爬する
  • 掻爬後に腫瘍内部をアルコールで処置する
  • 開窓部からβ-TCPを充填する
術後1年レントゲン
術直後レントゲン βTCPは置換され、再発を認めていない
軟骨芽細胞腫 *骨端部に好発する稀な良性腫瘍
*5-25歳代に多く、男女比は2:1
*多発性は10%
*大腿骨、脛骨、上腕骨近位部、手根骨、足根骨に多い
*単純X線:骨端に硬化縁を伴う類円形の透亮像
*石灰化:25%程度、小点状の石灰化像
*MRI: T1WI低信号、T2WI低信号〜高信号(軟骨成分を反映)の不均一な信号を示し、嚢胞変性やfluid-fluid levelを認めることもある
*不十分な掻爬術では再発することがあり、十分な掻爬を行い、必要に応じて補助療法を併用する