外科

膵臓がん

膵臓がんとは

膵臓に発生するがんで、「膵がん(すいがん)」または「膵臓がん(すいぞうがん)」と呼ばれます。「膵がん」「膵臓がん」「膵癌」はすべて同じ病気です。このがんは特徴として初期症状がほとんどないため、手遅れの状態で発見されることが珍しくありません。膵臓がん全体での5年生存率は約13%と予後の悪さが目立つがんです。

膵臓は胃の裏側に位置する15cmほどの臓器で、消化液(膵液)を出す「外分泌」と、インスリンなどのホルモンを出す「内分泌」の役割を担っています。膵臓がんの約9割は、膵液が通る「膵管」の細胞から発生します。また、ケースとして多くはありませんがIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)からがんになる場合もあります。IPMN自体は一般的な病気であるため注意が必要です。

リスク要因

  • 喫煙: 最も確実なリスク要因の一つです。
  • 糖尿病: 急激な発症や悪化は膵臓がんのサインであることがあります。
  • 慢性膵炎・IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍): 定期的な経過観察が必要です。
  • 家族歴: 血縁者に膵臓がんの方がいる場合、リスクが高まります。

「コーヒーが膵臓がんの原因になる」という説を耳にすることがありますが、現在の研究ではコーヒーと膵臓がんの直接的な因果関係は否定されています。 むしろ、近年の研究では適度な摂取がリスクを下げる可能性も示唆されています。

症状

早期の段階では自覚症状はほぼありません。進行すると次のような症状が現れる方がいます。

代表的な症状

  • みぞおちや背中に重苦しい痛みがある(腹痛・背部痛)
  • 白目や皮膚が黄色くなる(黄疸)
  • 尿の色が濃くなる(紅茶のような色)
  • 最近、急に血糖値が上がった、または糖尿病が悪化した
  • 食欲がなくなり、短期間で体重が減少した

検査

膵臓がんの検査としては次のようなものがあります。

  • 造影CT
  • 超音波内視鏡(EUS)
  • 腫瘍マーカー(CA19-9)
  • PET/CT検査
  • MRI検査(MRCP)

治療

膵臓がんの治療方針は、がんの広がり(ステージ)に基づいて決定されます。がんの切除が可能な場合は外科手術となります。さらに術前、術後の化学療法(抗がん剤治療)を実施する場合があります。

ステージ状態の目安5年生存率 ※1
ステージIがんが膵臓内にとどまっており、2cm以下(IA)または2cm超(IB)53.4%
ステージIIがんが周囲に少し広がっている、またはリンパ節転移がある22.5%
ステージIIIがんが主要な動脈(腹腔動脈など)を巻き込んでいる6.2%
ステージIV肝臓や肺など、他の臓器に転移がある1.6%

※1 がん情報サービス|院内がん登録生存率集計|2014-2015年5年生存率(ネット・サバイバル値)

手術による切除

がんのある部位を切除して再建する手術です。がんが膵体部や膵尾部にある場合は「膵体尾部切除術」を、膵頭部にある場合は「膵頭十二指腸切除術」を行います。「膵体尾部切除術」は胸腔鏡手術が主流となっており、ロボット手術も行っています。がんの根治(がんをとりきる)を前提としたうえで、なるべく患者様の身体に負担が軽い手術が行われます。

膵体尾部切除術

術中画像(ダビンチ手術)

膵頭十二指腸切除術

術前シミュレーション画像(CT画像)

術前の検討

術中画像

化学療法

化学療法のみでの根治は難しく、次にあげる目的で実施されます。

  • 術後補助化学療法:術後の再発を防ぐ目的で行います。
  • 術前化学療法:手術でがんが取り切れる可能性を高める、微細な転移がんの縮小などを目的として行われます。
  • 切除できない場合の化学療法:広がりが大きく手術ではがんをとりきることが難しい場合や再発がんに対して行います。
術前化学療法の治療例

治療前

治療後

放射線治療

  • 放射線治療:がんが大きな血管や神経に食い込んでいるなどで、手術による切除が難しい場合に化学療法(細胞障害性抗がん薬による治療)と組み合わせて行われます。
  • 緩和的放射線治療:がんによる痛みやがんからの出血、骨への転移を起こした場合の痛み、骨折の予防などを目的として行います。

早期発見のために

膵臓がんは初期の自覚症状が乏しく、発見が難しいがんとして知られています。

早期発見のためのポイントは以下の通りです。

1. 自分にリスク要因があるかどうかを知ること

主なリスク要因

  • 持病:糖尿病、慢性膵炎、膵嚢胞(IPMNなど)
  • 家族歴:家族内に膵臓癌になった人がいる
  • 生活習慣:喫煙、過度の飲酒、肥満

2. わずかな初期サインを知っておく

  • 血糖値の急な変化:原因不明の急な血糖値の上昇や糖尿病のコントロール不良など
  • 腹部や背中の違和感:「なんとなく背中が張る感じ」「微妙に胃の辺りが重い」などの違和感
  • 黄疸(おうだん):白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる(紅茶色)

3. リスク要因をお持ちの方は初期サインがあれば、検査を受ける

腹部エコーは膵臓の全体を詳細に観察できない可能性があります。エコーで膵管の拡張や嚢胞が見つかった場合は、MRI(MRCP)検査、または超音波内視鏡(EUS)等の精密検査を受けましょう。

当科の膵臓がん治療の特長

当科膵がん治療の5つの特長

1.専門医によるチーム医療

がんセンター出身の経験豊富な医師がチームを組んで治療を担当しています。

2.専門資格保有医師による対応

日本肝胆膵外科学会認定高度技能専門医・指導医による診療を行います。

3.高度技能専門医 修練B 認定実績あり

日本肝胆膵外科学会より高度技能専門医修練施設Bの認定を受けた施設です。

4.ロボット支援手術

膵体尾部切除術では、多くの症例で体への負担が軽い腹腔鏡手術またはロボット支援手術(ロボット手術)にて治療を行っています。

5.難しい症例にも慎重かつ積極的に対応

当院は心臓病患者様の診療を数多く行っているため血液サラサラのお薬を飲んでいる方が数多くおいでです。また、ご高齢な方も多く、そうした患者様に対する手術の経験を豊富に有しています。施設によっては手術が難しいと判断される症例でも、慎重な検討を加えたうえで、できる限り積極的な治療を行っています。

担当医師

緒方 賢司 副院長・外科主任部長

日本外科学会 専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・評議員
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本胆道学会 指導医
日本緩和医療学会 指導者研修会修了者
日本がん治療認定医機構 認定医・教育医
日本DMAT隊員資格

小林 亮介 外科医長

日本外科学会 専門医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医・評議員
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本食道学会 食道科認定医
日本膵臓学会 指導医
日本内視鏡外科学会 技術認定証(消化器・一般外科)
日本がん治療認定医機構 認定医

佐藤 学 外科医師

日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 認定医
日本腹部救急医学会 認定医
検診マンモグラフィ読影認定医

鈴木 文武 外科医師

日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医

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