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大腿骨転子下骨折術後・偽関節・髄内釘折損症例

大腿骨転子下骨折術後・偽関節・髄内釘折損症例(増井)

症例 86歳、男性
当院で大腿骨転子下骨折・外側壁骨折合併に対して観血的整復固定術を施行。高リスク患者であったため、外側壁の固定は行わず、車いすを第1ゴールとし、外側壁に骨形成が出るまでは1/3荷重として転院。術後3か月時、全荷重歩行(未許可)で来院、2日後に大腿痛を主訴に来院。
受傷時レントゲン
初回手術後1か月時レントゲン
再診時・術後3か月時レントゲン
術前プラン
  • 高齢者
  • 早期離床/早期荷重歩行のため人工骨頭置換術
  • セメントロングステム人工骨頭置換術+テンションバンドプレート固定
術中・後経過
  • 出血量:500ml
  • 手術時間:3時間9分
術後レントゲン
摘出した骨頭で頚部内側部分を再建(赤矢印)したうえでセメントロングステム人工骨頭を挿入し、さらに外側壁をテンションバンドプレートで固定した。
折損したγタイプ
long femoral nail
術中写真



折損したγタイプlong femoral nail(赤矢印)を抜去し、人工骨頭トライアルで脚長を確認(黄矢印)した後にセメントを注入、ロングステム人工骨頭を予定の位置に挿入(黄矢印)し、骨把持鉗子、ケーブルで圧迫する。次に外側壁をプレート仮固定し、ケーブルとロッキングスクリュー(青矢印)で固定する。
ポイント *大腿骨転子下・逆斜骨折
  • 強い応力に耐えられる内固定材
  • PFNA単独使用:径が細く早期荷重は危険なため、荷重時期を遅らせるか、可能ならテンションバンドプレートの追加固定
*折損時の手術
  1. 若年者
    • γタイプlong femoral nailの入れ替え+テンションバンドプレート固定
    • 必要に応じて骨移植
  2. 高齢者
    • 早期離床/早期荷重歩行のため人工骨頭置換術
    • 大転子~外側壁骨折がなければセメントロングステム人工骨頭置換術
    • 大転子~外側壁骨折があればセメントロングステム人工骨頭置換術+必要に応じてテンションバンドプレート固定追加