胆管がん
胆管がんとは
胆管がん(たんかんがん)は肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ管である胆管に発生するがんです。発生した部位により分類が異なり、肝臓内に発生した場合は肝内胆管がん、肝臓外の肝外胆管がんと分類されます。さらに肝外胆管がんは、より肝臓に近い部位に発生する肝門部領域胆管がんと十二指腸側に発生する遠位胆管がんに分類されます。
胆管がんは膵臓がんと並んで難治がん(治療が難しいがん)の一つとされています。50歳以上で罹患率が上昇し、男女比では男性にやや多い傾向があります。

胆管がんの分類
| 分類 | 発生部位 | 別名 | 特徴 |
| 肝内胆管がん | 肝臓の中の胆管 | 胆管細胞がん | 原発性肝がんの約5%を占める。症状が出にくく進行してから発見されることが多い。 |
| 肝門部領域胆管がん | 左右の肝管が合流する付近(肝臓の出口付近) | 肝門部胆管がん | 胆管がんの中で最も頻度が高い。門脈・肝動脈への浸潤を来しやすく、手術の難易度が高い |
| 遠位胆管がん | 十二指腸に近い側の胆管 | 総胆管がん | 比較的早期に黄疸が出現しやすく、黄疸をきっかけに発見される場合がある。 |
原因
胆管がんの明確な原因はまだ十分に解明されていません。しかし、以下の疾患や因子が胆管がんのリスクを高める可能性があるとされています。いずれも胆道の慢性的な炎症が共通の背景にあると考えられています。
- 肝内結石(肝臓内の胆管にできる結石)
- 胆石症(胆のう内結石)
- 原発性硬化性胆管炎(PSC) — 特に潰瘍性大腸炎に合併するPSCはリスクが高い
- 先天性膵胆管合流異常 — 胆道がんの発症率が高いことが知られている
- 肝炎ウイルス(B型・C型) — 特に肝内胆管がんとの関連が報告されている
- 肝吸虫(寄生虫) — 東南アジアで多いが、日本では稀
- 化学物質への曝露 — 2012年に印刷工場での胆管がん多発が社会問題化。原因物質として「1,2-ジクロロプロパン」と「ジクロロメタン」が指摘されています
- 糖尿病・肥満・高脂肪食の摂取
なお、胆管がんには明確な遺伝性は認められていません。上記のリスク要因に該当する方は、定期的な検査を受けることが重要です。
症状
胆管がんは初期にはほとんど自覚症状がなく、進行してから発見されることが多い疾患です。最も代表的な症状は黄疸(おうだん)であり、胆管がんの約90%にみられるとされています。
- 黄疸 — 白目や皮膚が黄色くなる。がんによって胆管がふさがれ、胆汁の流れが止まることで起こる(閉塞性黄疸)
- 濃い色の尿(褐色尿) — 血液中のビリルビンが増加し、尿に排出されるため
- 白っぽい便(灰白色便) — 胆汁が腸に流れなくなるため、便の色が薄くなる
- 皮膚のかゆみ — 胆汁成分が血液中に蓄積することで全身にかゆみが生じる
- 体重減少 — 消化吸収能の低下や食欲不振に伴う
- 腹痛(右上腹部・みぞおちの痛み)
- 倦怠感・食欲不振
- 発熱 — 胆管炎を合併した場合に起こる
黄疸が出る前の段階では、尿の色が濃くなったり便の色が薄くなったりといった変化が先行することがあります。こうした変化に気づいた場合は、早めに医療機関を受診してください。また、健診の血液検査で肝胆道系酵素(ALP, γ-GTP, ビリルビン)の異常が見つかって発見されるケースもあります。
検査
胆管がんの検査は、がんの存在を確認するだけでなく、がんの広がり(進展範囲)を正確に把握して最適な治療方針を決定するために非常に重要です。胆管がんは一見小さな腫瘍でも胆管の表面に沿って広がることがあるため、各種検査を組み合わせた精密な診断が必要となります。
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- CT検査
- MRI(MRCP)検査
- 胆道鏡(スパイグラス)検査
- 内視鏡的逆行性胆膵管造影検査(ERCP)
- 超音波内視鏡検査(EUS)
- PET検査
各種検査画像
CT画像(肝門部領域胆管がん)
CT画像(遠位胆管がん)
胆道鏡(スパイグラス)画像
MRI(MRCP)画像
治療
がんの治療は進行の程度を示すステージ(病期)に基づいて検討されます。胆管がんのステージはがんの大きさと広がり、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などからなるTMN分類の組み合わせで決定されます。
がんの切除が可能な場合は外科手術となります。さらに手術が難しい場合は化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を実施する場合があります。また痛みや症状の緩和を目的とした胆道ドレナージを行う場合もあります。
手術による切除
がんのある部位を切除して再建する手術です。肝内胆管がんと肝門部領域胆管がんでは肝臓を含めて切除を行います。遠位胆管がんでは膵頭十二指腸切除術が標準的な手術となります。がんの部位や進行度、周囲の臓器への浸潤があるかなどにより、様々な術式が用いられますが、がんの根治(がんをとりきる)を前提としたうえで、なるべく患者様の身体に負担が軽い手術が行われます。
遠位胆管がんに対する膵頭十二指腸切除術

肝門部領域胆管がんに対する拡大肝葉切除術

術中画像
術前シミュレーション画像
化学療法
患者様の身体の状態がすぐれない、遠隔転移がある、切除後の肝臓の機能が十分確保できないなどの理由で手術が難しい場合に化学療法を行います。
- 術後補助化学療法:術後の再発を防ぐ目的で行います
- 切除できない場合の化学療法:手術ではがんをとりきることが難しい場合や再発がんに対して行います。
免疫療法
免疫チェックポイント阻害薬であるデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)を用いた治療が行われる場合があります。
胆道ドレナージ
がんで胆道がつまって胆汁が流れなくなると、黄疸が出現したり、胆管炎を起こすなどから、治療を安全に進めることが難しくなることがあります。これを改善するために、胆汁を流すための処置を行う場合があります。この処置を胆道ドレナージと呼び、ステント(管)を留置して胆道を広げる方法や、チューブにより体外に出す方法があります。
よくある質問と回答
早期の段階での症状はほぼありません。
胆管がんは初期にはほとんど自覚症状がありません。進行すると黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、尿の色が濃くなる、便の色が白っぽくなるなどの症状が現れます。健診の血液検査で肝胆道系酵素の異常が見つかり発見されることもあります。
抗がん剤(化学療法)だけでがんを完全に治すことは難しいのですが、以下の目的で治療に用いられます。
- 術後に目に見えないがんを叩く目的(術後補助化学療法)
- 手術ではがんをとりきることが難しい場合や再発がんに対して、がんの進行を抑えたり症状を緩和する目的
発見のきっかけとなります。
血液検査で肝胆道系酵素(ALP, γ-GTP, ビリルビン)の異常が指摘されたり、また「腹部エコー」で胆管が太くなっている(胆管拡張)と指摘されたことがきっかけで、その後の精密検査で胆管がんが見つかるケースはあります。血液検査や腹部エコーで異常が指摘されたら専門外来を受診してください。
当科の胆管がん治療の特長
1.専門医によるチーム医療
がんセンター出身の経験豊富な医師がチームを組んで治療を担当しています。
2.専門資格保有医師による対応
日本肝胆膵外科学会認定高度技能専門医・指導医による診療を行います。
3.高度技能専門医 修練B 認定実績あり
日本肝胆膵外科学会より高度技能専門医修練施設Bの認定を受けた施設です。
4.難しい症例にも慎重かつ積極的に対応
当院は心臓病患者様の診療を数多く行っているため血液サラサラのお薬を飲んでいる方が数多くおいでです。また、ご高齢な方も多く、そうした患者様に対する手術の経験を豊富に有しています。施設によっては手術が難しいと判断される症例でも、慎重な検討を加えたうえで、できる限り積極的な治療を行っています。
担当医師

緒方 賢司 副院長・外科主任部長
日本外科学会 専門医・指導医
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・評議員
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本胆道学会 指導医
日本緩和医療学会 指導者研修会修了者
日本がん治療認定医機構 認定医・教育医
日本DMAT隊員資格

小林 亮介 外科医長
日本外科学会 専門医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医・評議員
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本食道学会 食道科認定医
日本膵臓学会 指導医
日本内視鏡外科学会 技術認定証(消化器・一般外科)
日本がん治療認定医機構 認定医

佐藤 学 外科医師
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器病学会 専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 認定医
日本腹部救急医学会 認定医
検診マンモグラフィ読影認定医

鈴木 文武 外科医師
日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医
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