認定・専門薬剤師
感染制御認定薬剤師の活動
昨今、世界中では薬剤耐性菌が問題となっています。薬剤耐性菌は「広げない」、「作らない」事が重要で、薬剤師は医師、看護師、臨床検査技師など多職種からなる感染対策チーム(ICT)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)で活動して院内や地域と連携しながら感染対策の促進に取り組んでいます。
ICTでは「広げない」為に手指衛生を始めとした消毒薬の適正使用を病院スタッフに指導し、院内の感染対策に注力しています。ASTでは、広域抗菌薬・抗MRSA薬の使用症例、血液培養陽性症例、抗菌薬長期使用症例、主治医からの相談症例などをチームで検討し、その内容を主治医にフィードバックしています。
当院では2018年4月より抗菌薬適正使用チーム(AST)の専従薬剤師を1名配置しています。現在、感染制御認定薬剤師5名、抗菌化学療法認定薬剤師4名が在籍しており、感染業務のスペシャリストとして、感染防止、抗菌薬適正使用に努めています。
薬剤師2年目よりICT・ASTメンバーとして、感染業務を開始し、バンコマイシン(VCM)のTDMなど幅広い感染業務に携わることができます。毎月薬剤部内で症例検討会、勉強会を行い感染業務のスペシャリストに向けての教育をしています。
がん薬物療法専門薬剤師の活動
当院には、11名のがんの専門・認定薬剤師が在籍しています。これは大学病院やがん専門病院を除くと全国的にも非常に多い数です。がん患者様への服薬指導、治療レジメンの整備や冊子の作成、院内外の勉強会など様々な活動を行っています。近年では、医師診察前に面談を行う「がん薬剤師外来」や、患者様がスマートフォンを用いて体調を入力し、副作用の早期発見につなげる「電子患者日誌」に力を入れており、治療の質の向上や医師の負担軽減にも貢献しています。

糖尿病薬物療法認定薬剤師の活動
糖尿病透析予防外来では、看護師や管理栄養士と連携し、糖尿病患者の透析導入を予防するための専門的な支援を行っています。薬剤師は、服薬アドヒアランスの向上や重複投与・薬物相互作用のチェック、インスリン自己注射や血糖自己測定、持続グルコースモニタリングの指導、薬物治療の提案など、多角的なサポートを提供しています。この外来に参入することで、患者様の健康を包括的に支援するための重要な役割を果たしています。
妊婦・授乳婦認定薬剤師の活動
当薬剤部には「妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師」が在籍しています。(2023年9月現在:全国で168名)
近年、妊娠・授乳中にお薬を服用している方が増えています。患者様に寄り添いながら、インフォームドチョイスを支援し、安心して妊娠出産して頂けるようなお手伝いをしています。
妊娠と授乳に関するおくすり相談外来

妊娠や授乳中の薬に対して、日本はまだまだ遅れています。海外でのエビデンスを元に患者様やご家族に妊娠中や授乳中のお薬について月曜日と金曜日は外来で、「妊娠と授乳に関するおくすり相談外来」を開きカウンセリングを行っています。
また、産後鬱予防・妊娠糖尿病のカウンセリングにも力を入れています。妊娠中から産後までかかわることで患者様との信頼関係を築いています。かかわっている患者様が疾患も悪化することなく出産でき、生まれたての赤ちゃんに会えた時は、私たちもとてもうれしく、ママたちと感動を共有しています。

妊婦・授乳婦薬物療法研究会
徳洲会グループにて「妊婦・授乳婦薬物療法研究会」を立ち上げ、「妊娠・授乳と薬」の分野をたくさんの人と盛り上げて、妊婦さんに寄り添える薬剤師を増やしていきたいと思い活動をしています。
また、徳洲会グループに来ている薬学部実習生に向けてオンライン講義・SGDを2021年より行っており、毎年200名近くの学生が参加しています。1人でも多くの薬剤師が妊娠・授乳中の薬について、正しい考え方を持てるようになってもらえることを願っています。