専門医療センター

結石治療センターについて

当院は平成26年4月より尿路結石に対する結石治療センターを立ち上げ、尿路結石治療で良好な成績をおさめています。

尿路結石と治療法(ESWL・TUL)について

腎臓から尿道までの尿の通り道に石ができる病気を「尿路結石症」といいます。
尿路結石症は石のある部位により「腎臓結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」などに分類されます。

尿路結石(尿管結石)とは?

腎臓・尿管・膀胱・尿道などにある結石を「尿路結石」といいます。尿路結石は、尿成分から析出される結晶が、腎臓の内部表面に集まり生成されます。結石が小さい場合は尿路を通って、自然に体外に排出される場合があります。

尿管結石は再発が多いことで知られており、再発率は5年間で30~40%と報告されています。

日本人の尿路結石は食生活の欧米化とともに増えており、全国調査によると40年間で約3倍も増加しています。働き盛りの男性に多い尿路結石。男性の7人に1人(女性は15人に1人)が一生の間に1回は経験すると言われています。

衝撃波により砂状になった結石

どのような症状が現れますか?

通常、尿管結石の初期症状は激痛を伴います。この痛みは、結石が尿路を通る時の刺激等により、突然起こります。特に、結石が下腹部や横腹部にある場合は、急激に鋭い痛みを感じます。また、結石が大きすぎて簡単に尿管を通らない場合、激痛が続きます。結石が膀胱に近づくと頻繁に尿意を感じたり、排尿時に激しい痛みを感じることがあります。

腎臓結石は無症状の場合も多く、血尿等で発見されることがあります。 無症状の結石を放置していると水腎症(腎孟の腫れ)による腎機能低下や細菌感染、排尿困難などの合併症を引き起こすこともあります。

尿路結石の治療方法は?

当院での治療方法

当院では体外衝撃波腎尿管結石破砕術(ESWL)経尿道的尿管砕石術(レーザーによるTUL)を行っています。どちらの加療を選択するかは患者様と相談して決定していきます。20mmを超える結石や珊瑚状結石など、経皮的腎砕石術(PNL)が必要な場合は他院と連携をとり治療してまいります。

体外衝撃波腎尿管結石破砕術(ESWL)とは?

全ての尿路結石に対して、体に傷をつけないという優れた利点を持つESWL(体外衝撃波結石破砕術)を行っています。専用機器で発生させた衝撃波を体外から結石に当てて破砕する仕組みで、小さくなった破砕片は尿とともに排出されます。麻酔は使わず、座薬か注射の鎮痛薬を使用し、手術時間は約60分。体への負担が少なく、ほとんど日帰り入院で治療が可能です(入院希望の患者様はもちろん短期入院することも可能です)。当院では年間約300-400人の方を治療しています。今までの成績で結石砕石率は約70%です。デメリットとして10mmを超える結石の場合は複数回治療をしなければ行けない可能性があること、また砕石後、結石が体外に排出するにはご自身での水分摂取などに時間を要するため、結石排出に時間がかかってしまい、場合によって砕石片で結石は詰まってしまう(stone street)可能性もあります。当院では平成26年4月に破砕専用機器を独ドルニエ社製 ドルニエDeltaⅡに変更しました。破砕技術の進歩と相まって治療効果がかなり向上しております。

衝撃波により砂状になった結石


ESWL ドルニエ社製ドルニエDeltaⅡ 結石砕石率は70%です。

経尿道的尿路結石除去術(TUL)について

体の外から衝撃波をあてて砕石するESWLに対し、TULは麻酔をかけた痛みを伴わない状態で尿道から「尿管鏡」という細い内視鏡を挿入、結石をモニター観察下でのレーザー砕石しバスケット鉗子で結石を体外に摘出する治療法です。

ESWL安全な治療法ですが、結石排石までに時間がかかることやX線に映りにくい成分の結石、骨盤に囲まれた部分の結石などは特にESWLでの砕石は困難です。直接モニターで確認しながらのTULの方が確実に砕石、摘出が可能です。

ホルミニウムヤグレーザーによるTULについて

ホルミウムレーザーの普及により、 腎及び尿管結石に対して軟性尿管鏡と硬性尿管鏡にレーザーを使用してのTULが近年目覚ましい発展を遂げています。これは尿道から内視鏡を挿入して腎及び尿管内の結石を直接確認し、レーザーファイバーを挿入してレーザーを用いて結石を砕石します。さらに細かくなった破片をきれいにバスケット鉗子で抽出するため、石を砕くだけでなく、その場で破片をきれいにとってしまうという大きなメリットがあります(ESWLは砕くのみで、破片は自然排出待ちとなります)。効果はもちろんのこと安全性も認められており、ヨーロッパ諸国ではすでにESWLからその立場を変わりつつあるといった優れた手術方法です。

当院では ホルミウムレーザー砕石装置(Sphinx Jr. LISA LASER社)を使用, 尿管鏡は硬性鏡がウルフ製とオリンパス製の2台,軟性尿管鏡はオリンパス社製のURF-P6(f-TULと呼びます)を使用し上部から下部まで全ての結石砕石と抽石が可能です。現在TULを年間100例以上施行しており、術後のstone free(結石が全て体外に排出されること)の確率は90%と非常に良好な結果を収めています。入院期間は4〜5日間の短期入院で手術は全身麻酔下に施行するため痛みはありません。患者様に要望に応じて治療法を選択してまいります。

レーザーによるTULでは90%の患者様の結石を摘出することが可能です。
オリンパス社製のURF-P6
レーザー砕石装置
(Sphinx Jr. LISA LASER社)

ESWLとTULの比較

ESWL
(体外衝撃波結石砕石術)
TUL
(経尿道的尿管結石砕石術)
メリット日帰りもしくは1泊の入院で可能
麻酔なしで施行
当日か翌日車で帰れます。
結石を直接みて割ることができるのでESWLより高い砕石効果
stone free 90%
軟性鏡とレーザーで上部尿路結石の砕石が可能
デメリット結石の砕石が確実ではない→成功率70%
割るだけなので砕石片が詰まる可能性あり
麻酔での手術
短期の入院加療が必要(約4〜5日間)