TriClip™治療
T-TEER治療/経皮的三尖弁接合不全修復術(TriClip™)
T-TEER治療(経皮的三尖弁接合不全修復術)は三尖弁閉鎖不全症と診断され手術等の積極的治療が必要な状態であるが、何らかの理由で手術を受けられない患者さんに向けた新しい治療法です。
三尖弁の逆流を軽減することが目的であり、胸を切開する従来の外科手術よりも体にかかる負担が少ないため、年齢や併存症のために、これまで手術を受けることが難しかった患者さんに対しても治療が可能となります。
この治療では、外科手術と違って開胸して、一時的に心臓を止める処置は行いません。その代わりに医師はカテーテルといわれる細い管を使用して、大腿静脈から心臓にアプローチします。
用いるデバイスは、三尖弁に留置する小さなクリップです。弁の接合不全をクリップにより治療することで逆流を減らします。
現在、国内に使用されているデバイスは「TriClip™(トライクリップ™)」があります。
なお、心臓や弁の状態によってはこの手技ができない場合があります。
TriClip™システム
手技手順
1.足の付け根から静脈を経由し心臓までカテーテルを進めます

2.クリップデリバリーシステムを右心房内に挿入します

3.クリップを留置する位置を検討します

逆流の原因となっているすき間のある個所をクリップでつまんで固定します。クリップは再留置が可能ですので、リアルタイムにエコーを見ながら、仮に留置をし、一番逆流を減らせる位置を検討します。
4.クリップを固定すると閉鎖不全が解消され、逆流が減少します

位置を決定のうえで、クリップをしっかりと固定します。カテーテルを抜去し、手技を完了します。
T-TEER治療の入院スケジュール例
治療は原則として7日~10日程度の入院で行われます。ただし、服薬調整や併存症の状況によって、より長くなる場合があります。
| 1日目 | 入院、事前検査等 |
|---|---|
| 2日目 | 手術(全身麻酔) |
| 3日目 | 食事再開・歩行開始 |
| 4~5日目 | リハビリ等 |
| 6日目 | 退院判定 |
| 7日目 | 退院 |
適応基準
原則として以下を満たす患者様に対して行われる治療となります。
- 重症の三尖弁閉鎖不全がある方(安静時、負荷時を問わずTR3+以上)
- 薬物療法による症状のコントロールが難しい方
- 大腿静脈から右心房にアプローチが可能で、解剖学的にクリップの留置が困難ではない方
Q&A
公的医療保険が適用されます。また、高額療養費制度の利用も可能です。
原則として7日~10日程度になります。
※服薬調整や併存症の状況によって、より長くなる場合があります。
重度の三尖弁閉鎖不全があり、お薬でのコントロールが難しい方が対象となります。
また、血管の走行や弁の形態から手技の困難が予想される患者様は適応外となります。
手技中は食道にエコーのための器具が長時間挿入されることもあり、全身麻酔で行います。
メリット
- 外科手術が出来ずお薬でのコントロールも難しかった患者様にとっての治療選択肢となること
- むくみ、息切れ、強い倦怠感といった症状が速やかに改善される
- 低侵襲で社会復帰も早いこと
- 術中の死亡リスクが低い(周術期死亡率0.6%)
デメリット
- 「逆流を減らす」治療であり、ゼロにはできない。
- 実施施設が限られる
- 新しい手技なため、長期成績の積み上げはこれからとなる
一律で年齢による適応判断はしていません
一律で年齢による適応判断はしておりません。
ご高齢の患者様でもお身体の状態が手技に耐えられると判断されれば適応となります。
なお、一般的に外科的な手術に対してはお身体への負担は圧倒的に軽いため、その点では、よりご高齢の方に適した治療であると言えます。
平均的な治療費用
70歳以上の方
| 対象者 | 実際の窓口負担額(食事代込) | |
|---|---|---|
| 現役並み所得者 | Ⅲ 目安年収 約1,160万円以上 | 約¥330,000 |
| Ⅱ 目安年収 約770万〜1,160万円 | 約¥240,000 | |
| Ⅰ 目安年収 約370万円〜約770万円 | 約¥150,000 | |
| 一般 | 目安年収 約370万円未満 | 約¥80,000 |
| 低所得者 | 住民税非課税世帯 (低所得Ⅱ) | 約¥30,000 |
| 所得が一定以下 (低所得Ⅰ) | 約¥20,000 | |
70歳未満の方
| 対象者 | 実際の窓口負担額(食事代込) | |
|---|---|---|
| 区分ア | 年収約1,160万円以上 | 約¥330,000 |
| 区分イ | 年収約770万円~1,160万円 | 約¥240,000 |
| 区分ウ | 年収約370万円~770万円 | 約¥150,000 |
| 区分エ | 年収約370万円以下 | 約¥80,000 |
| 区分オ | 住民税非課税 | 約¥50,000 |
※入院日数や部屋代により、負担額は変動します。
当院の治療体制について
T-TEER治療(TriClip™)は、従来より大動脈弁や僧帽弁に対するカテーテル治療を手掛けているハートチームにより施行されます。当院のハートチームは豊富な症例数に裏打ちされた経験豊富で優秀なスタッフたちにより構成されており、高い安全性と治療効果を提供します。
ハートチームとは
循環器内科医師、心臓血管外科医師を中心とした多職種が連携して循環器疾患治療にあたるシステムのこと。チームには看護師、麻酔科医師、臨床工学技士、放射線技師等が含まれ、それぞれの専門分野に関する知識と経験を持ち寄り、患者様に最善の治療を提供するために日々業務にあたっています。
また、当院SHDセンター長 桃原医師は僧帽弁に対するTEER治療のプロクター(手術指導医)認定を受けており、他施設に対し新規導入時の指導、支援も行っています。
担当医師

桃原 哲也 副院長・循環器内科主任診療部長・SHDセンター長
医学博士
日本内科学会 認定医
日本循環器学会 専門医
日本心血管インターベンション治療学会 専門医・指導医
日本経カテーテル心臓弁治療学会(JTVT)実施医・指導医(Core Valveシリーズ、SAPIENシリーズ)
MitraClipプロクター認定(アボット社)
PASCAL Presicionプロクター認定(エドワーズライフサイエンス社)

飯塚 大介 循環器内科部長
日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会 認定医・専門医
経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会 TAVR指導医(SAPIENシリーズ)・TAVR指導医(CoreValveシリーズ)

倉持 雄彦 副院長・循環器内科主任部長
日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会 専門医

葉山 泰史 循環器内科部長
日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
日本心血管インターベンション治療学会 認定医・名誉専門医

牧野 仁人 循環器内科部長
日本循環器学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医・指導医
経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会 TAVR指導医(Core Valveシリーズ、SAPIENシリーズ)
日本心血管インターベンション治療学会 認定医
日本病院総合診療医学会 総合診療医
お問い合わせ
患者様
当院循環器内科外来にお越しいただくか、無料メール相談(直通メールまたは問い合わせメールフォーム)をご利用ください。
医師直通メール:chibanishi.shd@gmail.com
お問い合わせメールフォームはこちら
| 循環器内科外来 | 月曜日~土曜日(祝日除く) |
|---|---|
| 担当医師(桃原/飯塚)外来 | 木曜日 午前・午後 |
他施設の方(患者様のご紹介ほか)
地域連携室までご連絡ください。
047-384-8564
月~金曜日 8:30-17:00/土曜日 8:30-12:30
この記事を書いた医師

桃原 哲也(とうばる てつや)
千葉西総合病院 副院長
循環器内科主任診療部長・SHDセンター長
(画像・動画提供:アボットメディカルジャパン合同会社)




