医療法人木下会 千葉西総合病院
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大動脈センター
 

大動脈瘤があると言われている方、あるいは
知人、家族の大動脈瘤のことが心配な方へ(20)

心臓血管外科部長  市原 哲也


  また新たな被害者が発生しました。早速報告申し上げます。
  患者は54歳男性、解離性大動脈瘤(慢性B型解離;背中側の大動脈に解離が及んでいるもの)で近くの医師にかかっておいででした。ある朝出勤途中、胸から背中にかけて激痛を感じ救急車を要請なさいました。ここまでは患者や家族ならばどなたも考えることですが、悪いのはここから、つまり、医療従事者側に大きな問題があったのです。それを以下に述べて参ります。
 
  現場にかけつけた救急隊員は、全身蒼白、冷や汗にまみれて苦しんでいる患者を見て、ただ事ではないと直感したのでしょう、近くの基幹病院(イロハ病院、と致しましょう。)の救急部に受け入れ要請したのですが、断られました。すぐさま次の基幹病院(ニホヘ病院、としましょう。)に受け入れ要請したところこれまた断られ、ドクターヘリを要請しヘリ設置病院に搬送されました。そこで心タンポナーデ(血液が染み出し、心臓の周囲にたまり心臓が押さえ込まれ血圧が下がった状態)を伴う急性大動脈解離A型と診断され、低血圧(50代)のため、即時緊急手術必要との判断で当方に連絡がありました。そこで緊急手術目的で再びヘリ搬送とすぐに決まったのですが、残念ながら離陸寸前に心停止となりお亡くなりになったのです。
 
  最初の救急要請が8時頃、心停止が10時40分ですから、約2時間半の間のできごとです。問題は以下の点が挙げられましょう。
  1. イロハ病院、ニホヘ病院救急部の対応;様々な事情で断るのは已むを得ないとしても、予測される疾患(救急専門医であれば、既往症や様子よりこの方の疾患は急性解離の可能性が高いと判断できるはずです)により、受け入れかつその後の処置まで遅滞なく行われる施設を案内しなかったというのは問題があると言わざるを得ません。
     
  2. 救急隊関係者の対応;上記2病院に断られるまで既に20分から30分は浪費していたことでしょう。そして、救急隊員ならば、疾患も予測はついていたはずでしょう。ヘリ設置施設は3次救急指定施設ですので随時緊急手術が可能と考えるのも無理からぬことでしょう。しかし実際にはさにあらず、なのです。実際、搬送されたヘリ設置病院は緊急手術ができず、当院に再度搬送されることとなり、そこで30分から1時間浪費しました。救急隊の3次救急施設に対する認識不足と言わざるを得ません。
     
  3. ヘリ設置病院救急部の対応;ヘリ設置病院救急部は、救急隊の連絡により疾患の予測は可能なはずで、緊急手術まで考慮すべきでした。自分の施設の心臓血管外科チームが緊急手術可能かどうかはすぐにわかるはずで、不可能ならば受け入れるべきではありませんでした。緊急手術可能なチームのある病院を知らせ、最初からそこへヘリを向かわせるべきでした。
     
  いかがでしょうか?これらの問題が解決されない限り、同様な被害者は後を絶ちません。患者や家族の皆様におかれましては、いつでも緊急手術可能な病院だけ把握して頂ければ宜しいかと存じます。千葉県内では、当方のみです。これは宣伝ではなく、知っておくべき大切なこととして申し上げているのです。救急隊関係者、基幹病院救急医、循環器科医には再三連絡してございます。問題は、情報網が有機的に繋がっていないことです。急性解離の恐ろしさや時間の浪費が認識されていないのです。
 
  同様な例は稀ではございませんので敢えて緊急報告を致しました。もちろん、対策を講じますが、皆様のお知恵も拝借すべきと存じます。このような悲劇を根絶するための努力を惜しまない私共に、こんな方法、あんな方法、こんな人知ってるから連絡してみたら、というようなことでも構いません、御教示下さい。連絡をお待ち申し上げます。
 
 
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連絡先

千葉西総合病院代表
047-384-8111

大動脈センター 市原哲也

 

 
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